たのめつゝ


『新勅撰和歌集』に1首入集(巻第十三 恋歌三 854)。

たのめつゝこぬ夜つもりのうらみてもまつより外のなぐさめぞなき

(訳)期待させながら来ない夜が積もり積もった。(津守の浦を見ても松より他に慰めとなるものはないが、)恨んでみても、待つよりほかに慰めなどないのだ。
女性の立場で詠んだ歌。
「つもり」は「積もり」と「津守」という地名の掛詞。津守は摂津国の歌枕で、松の名所。今の大阪市西成区の辺り。
「うら」は浦・恨の掛詞。「まつ」は待つ・松の掛詞。

元記事は「平忠度:熊野の歌」。